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ビルメン現場のためのノロウイルス対策

ビルメンテナンス情報
ビルメン現場のためのノロウイルス対策

著 木村光成 先生

 ビルメン業界では、ヒヤリハットに代表されるように、目に見える外傷に対しては労災と考えるが、業務用洗剤による手荒れや、アトピー現場での感染などには無関心である。
 現場が感染の危険にさらされるのはサーズ以来である。サーズの場合は『情報の公開は現場の動揺をもたらすから行わなかった』との話が伝わっている。

 サーズウイルスの場合、ウイルス表面に油性皮膜エンベロープがあったため、食器洗剤のような弱い洗剤でも皮膜を破壊できた。ところが、ノロウイルス(小型球形ウイルス)はエンベロープを持たないため、アルコール、逆性石鹸に強く、加熱と次亜塩素酸ナトリウムに弱い。当然、市販除菌剤は効果が少ないと考えられる。
 このウイルスの問題点は、池袋のホテルの例のように、カーぺットのパイル内のダストに生き残ったウイルスによる、経口感染が大きな問題である。また、症状が出ない保菌者がいることも大きな危険であるし、抗体の効果が1~2年というのも、ワクチンが作りにくいことを暗示している。豪華客船における消毒後の再発も、おそらくカーぺットのハウスダストが原因と考えられる。80年に行われたカーぺットクリーニング効果テストでも、効果の少ない順では細菌が一番であった。
 細菌、ウイルス<ダニ<カビ

 感染の危険が高い嘔吐物、便の処理に当たる現場は注意が必要である。当面は手洗いの励行ということであるが、次亜塩素酸ナトリウム以外の殺菌剤が必要である。病院での院内感染が起きていることからも、消毒の困難さの裏づけともいえる。
 注意の必要な事項は、次亜塩素酸ナトリウムによるカーぺットの湿布は、ウールはもちろんナイロンも変色の可能性が高い。特にナイロン6が弱い。あとで脱塩素処理を行っても、戻らない可能性が高い。この点十分にオーナーに説明されたい。
 いずれにしても、今後ビルメンの仕事は感染の防御、すなわち目に見えない汚れ(カビ、細菌、ウイルス、ダニ)の除去が大きな分野を占めてくる。

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