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第12回 震災対策技術展

第12回 震災対策技術展
自然災害対策技術展 横浜

会期:2008年1月31日~2月1日
会場:パシフィコ横浜
主催:「震災対策技術展/自然災害対策技術展」横浜会場 実行委員会

 震災・防災対応、被災地向け非常用品などの総合展示会が、パシフィコ横浜で開催されました。
 当サイトでは、一昨年の2006年開催時にも紹介していますが、その時に比べると、耐震建材など大型商品の展示割合が減り、代わりに、無線機や非常用品などの展示が増えた気がします。これは『被災に備えた』展示が減り、『被災後に備えた』展示が増えたといえるかもしれません。

 それにしても、事前登録すれば無料入場券を発行してもらえるとはいえ、こういった展示会で一般入場者が無料でないのはいかがなものかと思います(各地で開催しているうち横浜会場のみ当日入場券が1000円)。
 前日や当日に開催を知って興味を抱いても、たとえば会場付近を通りかかって興味を抱いても、「なんだ有料か」と倦厭されることもあるでしょう。これでは、これから防災意識を喚起されるべき人の来場を、妨げることにならないでしょうか? イベントそのものに『不意の災害に備えましょう』と啓蒙する意義もあるはずなのに、不意の来場希望には料金請求というマイナス要素があるという……。
 おそらく、実際の来場者は、ほとんどが無料招待券による入場でしょう。公式ページによる昨年開催時の入場者分析では、開催を知った経緯が、招待状が63%、出展者からの案内が22%とあることから、少なくとも85%以上が無料入場券での入場と思われます。後援団体が多いことからも、なぜ、わざわざ『一般入場券有料』を掲げて敷居を高くするのか疑問です。

参考:
 震災対策技術展(公式)
 当サイト内/2006年展示会の模様

アイディールブレーン株式会社
 『μ-Solator』

 既存建築物への施工が簡単な、面の滑りと慣性を利用した免震システムです。
 床面に製品を敷き詰めて、わざと摩擦を減らして滑りやすくすることで、横揺れの地震で家具や機材が大きく揺すぶられることを防ぎます。
 施工は簡単で、床面にセルプレートを敷き詰め、グリスを塗布した滑走プレートを置けば完了です。あとは、その上に家具や機械などを載せるだけ。セルプレートは敷き詰めて固定するだけなので、床面に器具を植えたり金具を打ちつけたりする必要はありません。また、作動原理は単純な物理現象だけなので、特に整備も必要もないでしょう。

 倉庫の荷崩れ対策や、サーバー設置場所などの横揺れの困る特定箇所はもちろん、オフィスの床に敷けば落下物などによる怪我を予防することもできるでしょう。
 特に、工場の生産ラインなどで、設置された機械同士の位置関係がズレると困る場合などに、生産ライン全体を『μ-Solator』の上に載せてしまえば安心です。ただし、ライン中に天井設置型のロボットがあるなど、部屋に対して相対位置が変わると困る場合には、使用できません。

 床面を対象にした製品なので、建築物の構造に免震機能を付与するものではありません。また、横揺れ対策の製品なので、縦揺れ対策も必要なようであれば、この製品を敷いた上で、別の縦揺れ対策を施すことになります。大規模震災への対策というより、日常的に頻発する小規模地震による損害を防ぐためのものでしょう。


最上段:
 サンプル展示。
 このくらいの面積になると、軽く足で蹴ったくらいでは動きません。滑りやすくしたからといって、足元が不安定になることはないでしょう。
上段:
 セルプレート(銀色部分)と滑走プレート(黒色部分)。
左下:
 上記を拡大したもの。
右下:
 水平に近いアングルから。
 セルプレートの突起は僅かなので、施工による床面上昇は、この厚み分だけです(メーカーによれば4mm)。また、この突起の、球面でもない微妙な形状によって適度な摩擦がうまれるので、普段から足元が不安定になったり、無制限に滑り過ぎることがありません。

株式会社トクシン電気
 『真空スプリンクラー』

 破損や誤作動による漏水被害を防ぐことのできる、新方式のスプリンクラーシステムです。
 通常のスプリンクラーでは、水源のポンプからスプリンクラーヘッドまで常に加圧された状態です。そのため、ヘッドが破損したり誤作動した場合、破損箇所から水が溢れ出し、部屋を水浸しにしてしまいます。また、常に加圧されているために配管の腐食が進み、途中で穴が開けば、やはり漏水事故の原因となってしまいます。
 メーカーの資料によると、スプリンクラーの放水理由(正常・異常を問わず)のうち、本当の火災によってスプリンクラーが放水する割合は0.3%だけで、あとの99.7%は誤作動や破損による漏水事故と呼ぶべきもののようです。もし、精密機器を置いている部屋で、不意の破損や誤作動が起きた場合、水浸しになることで生じる損害は計り知れません。

 この『真空スプリンクラー』では、フロアごとに制御装置と機械弁を儲けて、そこからスプリンクラーヘッドまでの配管内を、常に満水でありながら負圧の状態に保ちます。制御装置が火災発生を確認した場合のみ弁が開き、配管全体が加圧されて消火放水が行われます。負圧といっても常に満水状態なので、火災発生から散水開始までタイムラグが生じることはありません。
 一方で、制御装置が火災を確認していない場合、常に負圧で水を吸い上げた状態ですから、スプリンクラーヘッドが誤作動で開いたり破損しても、水が放出されることはありません。これは配管の途中に穴が開いた場合も同様です。
 また、負圧にすることによって、配管内の水は酸素が脱気された状態になるので、これが配管の腐食防止のためにも役立つのです。 さらには、センサーによって、負圧状態での配管内圧力を一定に保つよう監視しています。これは負圧をうみだす真空ポンプの制御に関わると同時に、装置の故障を察知する役目も負っています。
 ヘッドが誤作動で開いたり、配管が破損すると、破損部分から空気が入り込むことで配管内の圧力が変化します。センサーが圧力の変化を察知した時、弁の制御装置が作動していなければ、ヘッドか配管に問題があると判断して、その旨を警告するのです。また、破損箇所では、配管がゴボゴボと空気を吸う音をたてるので、問題箇所の特定もし易いでしょう。

 漏水事故による損害を防ぎつつ、誤作動や破損などの監視も行う。常に監視することで装置を正常に保っていれば、いざ本当に火事になった時に、確実な作動を期待できて安心です。
 このシステムは、これまでは導入に所轄消防署の認可が必要でしたが、本年(平成20年)の4月より消防検定の認定商品になるらしいので、導入へのハードルがひとつ減ることになりそうです。


アップリンクジャパン株式会社
 『シグマ救水』

 非常用の浄水器セットです。
 実際に阪神・淡路大震災での被災した方々によって、被災時の経験を基に考案されたそうです。人力で使用できるので、電源も電池も必要ないのが最大の特徴です。
 河川や貯水池などで汲み上げた水を、3つのフィルターで濾過することで、濁りや有機物や大腸菌などを除去して、飲用できるまでにしてくれます。浄水能力は、フィルタ1セットで約2000リットル(水源の状態で変化)。
 ここでポイントとなるのが、フィルター以外の部分に”洗濯機用のホース”や”自転車用の空気入れ”など一般的な品を用いていることです。ポンプなどの機械的装置を必要としないので、いざ「被災して使おうと思ったら故障していた」などという心配が少なく、また、万が一損壊があっても、身近で交換部品を見つけることができるでしょう。もちろん電源が復旧すれば、ポンプの使用も可能です。

 フィルタサイズだけみれば、やや本体ケースが大きいように思えるでしょうが、これも『地震発生時に瓦礫に埋もれてしまい、見つからなければ意味がない』ことや、ケースの隙間を、フィルタの予備をはじめ非常用品の収納ケースとして用いることを考えれば、妥当な大きさといえそうです。また、このケースは車輪とハンドルを装備しているので、水源までの移動も大きな負担なく行えます。

 ふと思いついて、海水での使用が可能か聞いてみたところ、海水用のフィルターは高額なため、標準セットでは対応できないそうです。とはいえ、地震災害発生時に海岸に近づくのは危険なので、むしろ「海水は駄目だ」とハッキリ意識しておくくらいが良いのでしょう。


『シグマ救水』の購入等、お問い合わせは
共栄産業株式会社 電話 055-921-7503




 上記したように、被災後の避難生活に備えた出展が目立った中で、特に多かったのが、非常用のトイレでした。これまで非常時の排泄を考慮したものは意外と目立たなかったのですが、これまでの非常用トイレが、とりあえず排泄するだけの印象だったのに対して、「排泄後の処理」を考慮した品が増えるようになり、注目を集めるようになりました。
 水洗トイレが使用できない状況では、その排泄物を身近に溜めておくしかありません。廃棄できるようになるまで長くかかる場合、悪臭や衛生面での問題がでてきます。そこで、いかに排泄物を処理するか。また、廃棄できるようになってからの処理を簡便化するか。そこに焦点を置いた商品を、いくつか列挙してみました。
株式会社エクセルシア
 『パウダレット』
 『パウダレットミニ』

 排泄物から水分を除去することで、悪臭や腐敗を防ぎ、最終的には殺菌された粉末状にできるという、排泄物処理をするためのセットです。
 製品の中核は、酸化カルシウム(生石灰)を主成分にした特殊処理薬剤です。この処理薬剤を排泄物に混ぜると、排泄物に含まれる水分と反応して、最高で約90度の熱を発します。この反応によって水分を除去し、同時に反応熱で殺菌をも行うことができるのです。
『パウダレット』に付属の処理機を用いれば、排泄物は最終的に右写真のような粉末になります。この時点で、既に水分は失われていますから、強い臭気を発することもなく、腐敗の心配もありません。あとは、この粉末を風で飛び散らないようにゴミ袋にでも入れて、廃棄できる日を待つことになります。粉末になっている分、かさが減っているのもポイントです。
左下:『パウダレットミニ』の排泄物処理薬剤。
 下の大きいのが特殊処理薬剤の袋で、これは『パウダレット』と共通です。写真上の小さな袋は、小便をゼリー状にする薬剤で、これは『パウダレットミニ』にのみ付属しています。


右上:『パウダレット』の処理装置。
 手前にみえるペール缶を重ねたような物が処理装置です。上部のハンドルを回すと排泄物と処理薬剤を攪拌することができ、下部の缶に処理済の粉末を溜めておけるようになっています。
 処理をする際には、熱と臭いが生じるのでフタをしておきます。イスの上にある紫色の物体がフタで、活性炭が含まれており、処理作業中の消臭に使います。
 また、写真では解りづらいのですが、奥のイスは、座面に穴が開いていて、下に処理機を置けば、そのまま排泄できるようになっています。他にも小型のテントなど、トイレ以外の場所で使うためのオプション製品が用意されています。

左:『パウダレットミニ』の処理箱
 家庭向けの『パウダレットミニ』に付属する処理箱です。普段は折りたたまれてセットに同梱されており、使用前に組み立てることになります。上記のように処理中は熱と臭いが生じるので、その間、この箱に入れて、活性炭を含むフタをしておきます。

日本セイフティー株式会社
 『ラップポン』

 排泄物をビニールで個別包装することで、汚物も臭いも密閉して、廃棄も簡単にできる装置です。
 使い方は、装置内に排泄後したら凝固剤を投入、ボタンを押せばビニールが送り出されて開口部が圧着されます。こうして一回毎の排泄物が個別包装されます。包装に用いるビニールは五層構造の特殊ラップですし、同時に投入した凝固剤も汚物の腐敗を妨げるなどして、臭い漏れを防ぎます。
 この『ラップポン』シリーズは、能登半島地震の被災地に50台、中越沖地震に100台が支援として送り込まれ、実際の被災地で活躍したそうです。また、富士山の五合目駐車場の公衆トイレとして設置されたこともあるそうです。
 右の写真は参考出品されたポータブルタイプで、運搬しやすいトランクケース型になっています。装置そのものがコンパクトに重ね置きできる形状になれば、それだけ多くの装置を移送できるようになるでしょう。

 確かに、電源さえ確保できるならば、被災地や山間部などの水洗の使用が厳しい状況下では、後の運搬処理がし易いということもあって、大きな助けになりそうです。
 ただ、ここで『電源さえ確保できれば』というのが、救急用品としては大きな問題となります。実際の被災地に持ち込まれた時点では、水は使えずとも電源は早い段階で復旧していたので問題なかったそうですが、救急用品として考えるならば、より悪い状況を想定すべきでしょう。この点はメーカーの方も考えているようで、今後、改良型の登場が期待されます。
 ひとまず、電源が普及するまで乾電池でしのげる様、省エネ化するのが最優先事項でしょうか。
左上:凝固剤『カタメルサー』
 消臭・給水の機能をもったペレット状の排泄物凝固剤です。製品は煎茶のような香りがするので、茶カテキンの消臭効果があるものと思われます。

右上:個別に密閉された状態。

左:被災地でも用いられた、オリジナルタイプ。
 臭いが出ず、後始末も楽なので、介護の現場などで好評だそうです。
 山間部の仮設トイレに用いたり、老人介護の現場で居室への導入がし易いなど、救急用品というよりも、平時の特殊状況において活躍の場が多くありそうです。

イワツキ株式会社
 『水・不要せいけつさん』

 排泄物を、凝固剤でゼリー状に固めて捨てる、簡単明瞭な非常用トイレセットです。
 汚物用のポリ袋、抗菌消臭剤、排泄物の水分をゼリー状にする凝固剤、ポリ袋の口を閉じるための結束帯、もしくはテープというのが基本セット。これに除菌クロスや衛星用品が付属したセットも存在します。
 使い方は、既存のトイレなどにポリ袋を被せて排泄を済ませ、消臭剤を吹きつけ、凝固剤を投入してから、ポリ袋の口を縛って閉じます。後は、これを生ゴミとして廃棄できる状況になるまで、保管することになります。

左:1回分パック。
 基本セットが、1回使用分入ったパッケージです。

上:10回分パック。
 基本セット10回分を、ポーチに収めたセットです。
 除菌クロスが加わり、消臭剤がスプレーで噴霧できるようになっているのが1回分との大きな違いです。
 この他にも、紙箱入りの20回分、ダンボール入りの50回分、100回分がありますが、避難集合場所などで備蓄する場合、補充用はともかく、まず最初は、このポーチ入りの10回用を一人一個配ってしまった方が良い気がします。

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