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19年度 第5回こころみの会

19年度 第5回こころみの会

実施日:2007年10月18日
会 場:ジョンソンディバーシー株式会社
主 催:こころみの会

講義1:『ビルメンテナンス業界の課題と経営支援制度の活用』
講義2:『社会保険労務士による改正高齢者法』
講義3:『高齢者の雇用状況と離職率』
講義4:『入札情報のメール配信サービス』


講義1:
『ビルメンテナンス業界の課題と経営支援制度の活用』
高津経営労務事務所 経営コンサルタント 高津氏

 中小企業診断士とは、中小企業支援法に基づいた国家資格を得ている専門家で、中小企業の経営課題に対応するための診断や助言をしてくれます。また、企業と行政や金融機関との関係をつなぐパイプ役も担っています。

 先生曰く、巷には企業活動を対象にした3000種もの助成金制度があるそうです。しかし、これらは有効に活用できれば助けになる一方で『制度自体が知られていない』『専門用語ばかりで解らない』『手続きが煩雑』などの問題を抱えています。
 そこで、中小企業診断士のような専門家に助言を仰ぐことができれば、様々な問題を適切に有益に制度を活用することができるでしょう。また、業務拡大にあたって金融機関から融資を受けたい場合にも、適切な現状分析と業務計画を提案できれば、より有利な支援を受けられるかもしれません。

 講義では、まず先生によるビルメンテナンス業界の動向分析が開示されました。それから経営診断の進め方、いろいろな経営支援制度の紹介へと続きました。特に新規事業への業務拡大を考えている企業にとっては、最後に紹介された経営革新支援制度が助けになるでしょう。

 経営革新支援制度とは、企業による新たな取組みを対象にした支援制度で、承認を受けることができれば、補助金、税制措置、特許関係料金減免などの支援を受けられるようになるそうです。また、金融機関から資金の融資を受けるのにも、承認を受けた計画であれば、融資額や金利の面で有利になることが考えられます。

 ここでいう”新たな取組み”には、以下のものが挙げられます。
 ・新商品の開発や生産
 ・商品の新たな生産や販売方法の導入
 ・新サービスの開発や提供
 ・サービスの新たな提供方法の導入
 ・その他、新たな事業活動

 承認を受けるためには、現状分析と計画内容、実施手順などを記した経営革新計画を作成して、審査を受けることになります。
 審査においては、新規性、創造性、他社との差別化(競争優位性)、市場性(事業性)、実現可能性などが審査のポイントになるそうですが、やはり、より客観的に、より適切に事を進めるためには、経験豊かなアドバイザーに相談した方が良いでしょう。

 最後に、参考として講義中で紹介された様々な経営支援制度を列挙します。

  経営支援制度
   ・経営アドバイザー
   ・エキスパートバンク(商工会議所)
   ・シニアアドバイザー(商工会議所)

 これらは、それぞれの地方自治体や商工会議所に設けられているので、どこに、どのように助言を求めれば良いのか判らない時には、上記の言葉に、御社のおかれた地名や商工会議所の名を併記して検索を試してください。また、これらの制度のなかには無料のものもあるので、活用してください。

参考:神奈川中小企業センター

講義2:
『社会保険労務士による改正高齢者法』
おおば社会保険労務士事務所 社会保険労務士 大場氏

 昨年、高年齢雇用安定法が改定されました。これは高齢者の雇用、就労機会の確保、会社都合で退職した人の就労支援などについて定めた法律で、改定では『65歳未満の定年の定めをしている企業は、65歳まで高年齢者の安定した雇用の確保をしなければならない』とされ、1:定年年齢の引上げ 2:継続雇用制度の導入 3:定年の定めを廃止 が挙げられました。実際には、いきなり定年を年引上げるのは負担が大きいので、段階的に導入されることになるそうです。

 65歳までの雇用確保が求められる理由としては、「急速な少子高齢化」と「老齢厚生年金の受給開始年齢の引上げ」が挙げられます。
 また、日本人の場合には、高齢者に高い就労意欲があることも背景にあるようですが、これは実際には、国策の失敗や社会保険庁の数々の悪行によって、高齢でも働かざるを得ない状況になったと云えるようです。
 そこで定年の引き上げ、もしくは定年制の廃止で対応したい……ということにつながるのですが、安易に定年年齢の引上げをするのでは、企業の負担が大きくなるばかりです。具体的な問題には、人事費の負担増加や、新入社員の採用計画への影響が考えられます。

 そこで講演では、継続雇用制度を導入することが提案されました。
 ここで重要なのは『高齢者雇用の確保=定年の引上げ』ではないということです。
 これは、高齢者の雇用を確保するために、単純に定年年齢を引上げるのではなく、別の方法で雇用の機会を確保すれば良い……という考え方です。
 例えば『本来の定年で一度は退職手続きして、後に、嘱託社員やパート社員として改めて契約する』といった雇用形態でも可能になります。

 当然、賃金やボーナスについても、従来の雇用条件を継続する必要はなく、新しい雇用条件として再設定することができます。退職金についても、元来の定年で退職する際に支給してしまえば、新規契約分については別条件を設けることができるのです。
 また、再契約の採用基準を定めることで、継続雇用を希望する全員を雇用する必要もありません。契約する相手を取捨選択することで、企業に必要な人材のみ残すことができることになります。

 ただし、継続雇用をするか否かについては、具体的かつ客観的な基準を設ける必要があるでしょう。不要な人材として継続雇用を断るにしても、誰もが納得できるだけの根拠がなければ、トラブルの原因になってしまいます。
 同様に、ある程度の契約期間を設定しておくべきでしょう。契約期間を定めておかないと、雇い続けることが負担になった場合に対応できません。会社の雇用基準を満たす、必要な人材とは、期限がくる毎に契約更新することになります。一方で、契約を切る場合には、30日以上前に告知しておく必要があります。
 契約更新についても、適切な審査を行って、お互いに納得できるようにするべきです。毎回安易な継続手続きをしていると、従業員に期待権が発生して、やはり更新を断る時点になって、トラブルの原因になってしまいます。
 契約を続けるにしても断るにしても、お互いが納得できるだけの根拠や期間が必要になるでしょう。一番大事なのは、お互いが新しい雇用形態に納得できるように、よく相談することです。

 ・明らかな契約条件・基準を設定して、客観的に判断する。
 ・一定の契約期間を設定する。
 ・契約更新は、契約条件・基準に基づいて行う。
 ・契約を打ち切る場合には、十分な説明と準備期間を設けてケアする。


 一方で、雇用を継続するにあたって、助成金制度を利用する考え方も提案されました。
 ここでは、中小企業向けの制度で、定年年齢の65歳以上への引上げを規定した場合に一時金を支給する定年引上げ等奨励金や、特定求職者を従業員として雇いいれた場合に、賃金の一部を助成金として支給してくれる特定求職者雇用開発助成金が紹介されました。
 当然、これ等は、あくまでも負担軽減のために利用するものであって、助成金目当ての採用はしない方が良いでしょう。

 また、新たな契約によって、会社が支給する賃金が減額されたとしても、給料の低下が即時収入の低下につながるとは限りません。
 高齢者雇用継続給付金在職老齢厚生年金を組み合わせて考えることで、収入の規模を維持できるかもしれません。逆に、賃金が基準の金額を越えると、これらの支給が受け取れなくなったり、削減される場合があるそうです。
 こういった制度の利用や、様々な考え方を複合した上で、雇用する側とされる側の両者が十分に納得できるように相談することが、勤労意欲の維持にもつながります。

 ベテランを継続雇用することの最大のメリットは、それまでに培われた知識や経験、人脈などがあると思われます。しかし一方で、これをいつまでも当のベテランだけに頼っているのは問題です。
 高齢になり、社内での立場が変わったベテラン社員は、自らの価値を維持すべく、誰にも仕事や情報を伝えることなく、仕事の抱え込みをするかもしれません。それでは、突然のリタイヤを迎えた時に誰も対応できなくなってしまいますし、そんなベテランの存在は、後継となるべき若手にとっては障害でしかありません。
 そういった点でも、雇用継続の間に後継者教育に注力するよう依頼するなど、雇用者側の要望を具体的に伝えたり、話し合いの機会をもつことが重要となるでしょう。

講義3:
『高齢者の雇用状況と離職率』
株式会社アイデム 吉野氏

 まずは、求人情報を取り扱う立場から、様々な数値データを用いた少子高齢化の現状分析解説がありました。この辺りの話は、上記の大庭先生の話と重なる部分も多く、先の講義にとって、数値的な裏づけとなる場面もありました。

 続いて、本題の高齢者の雇用についてです。
 先生の話では、最近、世間的にも高齢者の雇用を求める動きがあるのだそうです。
 例えば、これまでコンビニエンスストアには「客も店員も若者」というイメージがありました。しかし、店の側は、幅広い年齢層に利用してもらいたいのが実情です。そこで、店員に高齢者を雇うことで、高齢の客も落ち着いて買い物できる状況にしたい。客層の拡大をしたい。といった、高齢者雇用のニーズがあったそうです。
 しかし、先の講義にもあったように、現在では高齢者の雇用状況が変化しています。企業が継続雇用することで、求人求職の市場に、有望な高齢者が出てこなくなっているのです。

 高齢者を雇いたいが、募集をかけても応募者がいない。応募してきても辞退されてしまう。就職しても長続きしない。そんな問題も出るようになりました。
 しかし、常に人材が不足している職場がある一方で、うまくいっている所、リテンションマネジメントができている職場では、仕事を辞める人が少なく、辞めてもすぐ新しい人が来るのだそうです。

 なぜ、そのような差ができてしまうのか? アンケートやインタビューを元にした考察が発表されました。
 まず、パート希望者の働く動機で最も重要なのが、『自分の都合で働くことができるか?』ということです。特にシフトに融通が利くかどうかが注目されています。 ただし、これは就職先を選択する時の基準なので、就職してから、偶に少々の不都合(予定外の仕事を頼むなど)があっても、それで辞める動機にはならないそうです。 一方で、パートが辞める動機として、最も多かったのは『上司との人間関係』だったそうです。 以上のことから、『採用時に、応募者の希望に対応できているか』『採用してからの付き合い』がポイントになります。

採用できる環境作り
 採用面接には、雇用者側が応募者を一方的に審査している印象がありますが、実際にはそうではありません。応募者の側も雇用者を審査して、働くかどうかを決めているのです。面接時の心象が悪ければ、採用の判断をしても辞退されてしまいます。
 ここで、次のような例え話が挙がりました。
 求人広告を出している顧客から「いくら面接しても辞退されてしまう」と言われたので、面接の現場を見せてもらったら、倉庫のようなところで面接していたそうです。
 面接時に「ここで働きたい」と思わせるような環境や気遣いがなければ、うまくはいきません。
 人は満足した経験よりも、不満だった経験を3倍人に伝えるそうです。最近はインターネットなどでも噂が伝わるので、印象の悪い職場は、いくら募集をかけても人が集まらないという、悪循環に陥ってしまうのです。

辞めない環境作り
 働いている人が、やる気になるのは、労働意欲が湧くのはどんな時なのか?
 その問いの回答では『上司に認められたとき』が最も多かったそうです。
 では、認められた時とは、どんな時なのでしょう? どうすれば、認めていると感じてもらえるのでしょう?
 端的にいえば、言葉をかけて、ねぎらうことです。そして、人間扱いすること。
 ここでいう『人間扱い』とは、相手のことを単なる「アルバイト」や「パートさん」でなく個人と認識することを意味します。最低限、名前は憶えて、名前で呼びかけるようにしましょう。
 さらに、ある程度のプライベートな会話ができるくらいの関係を築くことができれば、相手は認められたと感じて、辞めないだけでなく、仕事への意欲の向上にもつながることでしょう。

 こういったことを、雇用者側が、特に現場で従業員を監督する立場の者ができるようにすることが、リテンションマネジメントができていることを意味するようです。

 高齢者雇用とは別に、30代後半くらいの、子育てを終えた女性が有望であるという話もありました。
 出産までに社会経験がある女性は、経験の無い新卒者よりも、スムーズに仕事にあたれることが期待される……という考え方です。

 話の最後に、こんな提案がありました。
 上司との人間関係が原因で辞めることがあっても、その人たちを業界で共用する仕組みはできないだろうか? ということです。
『仕事は理解しているが、上司が気に入らないから辞める』で、あるならば、同じ業界で上司が変われば即戦力になりえます。

『業界の仕組み』とまではいかなくても、雇用者と被雇用者とのコミュニケーションがとれていれば、社内の他の現場へ移動する……といった対応はとれそうですね。

参考:株式会社アイデム

講義4:
『入札情報のメール配信サービス』
株式会社ビル新聞社 藤木氏
株式会社ズノー    原田氏

 この日最後の講義は、入札情報の収集サービスについてのアピールでした。

 現在、インターネット上では膨大な入札情報が公示されています。しかし、各省庁や団体によって、それぞれバラバラに公募されるために、これら全てに目を通そうとすれば、毎日数多あるサイトを巡回しなければなりません。
 そこで、インターネット上にある入札情報を収集して、ユーザーが求める情報だけを選別、通知してくれるサービスが『入札王』です。
 ユーザーは、業種カテゴリー、地域、団体、キーワード、発注時期などを設定するだけ。すると、条件に該当する入札情報が公示された時に、その旨を知らせる通知を受け取ることができるのです。

 このサービスを、ビルメンテナンス業界向けに専門化することで、簡略にしたのが『ビル新聞入札王』です。
 そもそもビルメンテナンス向けの情報に絞り込まれているので、あとは地域とカテゴリー(下記)を指定するだけで、入札情報がメールにて届くようになります。

ビル新聞入札王の契約カテゴリー(複数指定でも料金は同じ)
 ・建物等維持管理(清掃、警備、受付等)
 ・空調、換気、給排水、衛生機器および工事
 ・警察、消防、防災関連の機器、システムおよび業務
 ・電気、電源設備および工事
 ・エレベーター設備および業務


参考:
入札王
ビル新聞入札王

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