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冷凍・空調・暖房展

第34回 冷凍・空調・暖房展
(HVAC&R JAPAN 2006)
第9回 空調・衛生総合機材展
(MACS 2006)

会期:2006年2月7日~10日
会場:東京ビックサイト
主催:冷凍・空調・暖房展
財団法人 日本冷凍空調工業会

空調・衛生総合機材展
関東空調工業会
関東配管工事業協同組合

空調をテーマにした、ふたつのイベントが同時開催されました。
こういったイベントではよくあることですが、ふたつのイベントで、それぞれ主催が違うとはいえ、会場は同じビックサイトの展示場内で隣接しており、一方に入場登録すれば相互に行き来できる状態です。
展示内容にも重なる部分が多く、どちらがどうという明確な区切りは無いようでしたが、私的な印象では『空調・衛生総合機材展』は、配管用の工作機材やパイプ、パイプ接続部、防音防振装置、配管作業工具など、空調施工関連業者を対象とする傾向が強く、『冷凍・空調・暖房展』の方は新製品の紹介や保守点検用品の展示も多く、対象が広かった気がします。

栗田工業株式会社

こちらでは、水槽の衛生的管理や配管の効率を高めるための、水周りに関する商品を総合的に展示していました。

『ファインボール』

給水タンクや冷温水槽に投入して、水面に浮くことで”落し蓋”の役目をするものです。
ただタンクに水を入れた状態では「水面の面積=酸素に触れる面積」になりますので、そのままにしておくと自然の蒸発が多く、ゴミなどが降りかかる面積も広く、腐食も早く進みます。特に腐食防止のために脱酸素している場合には、酸素の再溶解が早く進み、脱酸素した効果が持続できません。
こういった問題の対処するため、”落とし蓋”をして水面と酸素の触れる面積を減らすわけです。

この『ファインボール』のように浮体を水面いっぱいに広げる方法は、板やシート状の物と違って投入に手間はかからないし、上から水の注ぎ足しもできるので手軽です。また、空気を内包したカプセル状の浮体が、断熱・保温効果も発揮してくれます。これらは、浮体同士の間にある程度の隙間はできるものの、それを補って余りあるメリットでしょう。
さらに『ファインボール』は饅頭のような特徴ある形状をしています。
浮体が単なる球体の場合、浮力が強くても弱くても、球の中央部分以外では水面を塞ぐ面積が狭く、十分な効果が得られません。でも、饅頭型ならば中央より下部が円柱状になっており、最大直径の部分が広くとられているので、多少浮力に違いがあっても、常に最大の効果を発揮できます。その効果は、十分な数があれば平均で87%の水面を覆うことができるそうです。バサバサと投入しても、丸い形状から重なりあうことなく広がりますし、さらに重心が下部にあるので、転覆してもすぐに状態復帰します。

下写真:『ファインボール』と球体カプセルの比較。
上から見ると変わりないように見えますが、喫水を見ると球体では十分な効果を発揮できていないのが解ります。
『スチーム・ゼット(STEAM・Z)』

ボイラーなどの蒸気配管内に生じる廃液(ドレン)を除去するための排出装置です。
効率よく、連続的に廃液を排出する一方で、廃液と共に流出してしまう蒸気の量を抑える効果があるので、熱量の損失が抑えられ、省エネルギー化を可能にしてくれます。

基本的な原理は、配管の他のパイプ直径に比べて廃液の排出口は小さな円形の穴(オリフィス)になっていて、高速高圧の蒸気によって、この穴から廃液が押し出されます。同時に、押し出される廃液が穴を塞ぐ形になるので、余分な蒸気漏れが防げるのです。
一見、単純な物理現象を応用した装置ですが、それだけに導入する装置の廃液や蒸気の圧力と流量などを調査しておかないと、効率良く利用することができません。ラインナップは豊富なので、装置の規模に応じて、適切な製品を利用しましょう。
『アニオン交換処理』

水道水に含まれる腐食性の成分を除去して、金属の腐食を防ぐシステムです。
システムの要「アニオン交換樹脂」を通った水道水は、水中に含まれるアニオン(負の電荷を帯びたイオン)のうち、腐食成分のものが除去され、保護成分のものが残されます。もちろん、それで水の腐食性が完全に無くなるわけではありませんが、残った保護成分が腐食に対する保護皮膜になるので、通常の水道水に比べて腐食進行は1/10以下に抑えられるようになるそうです。 水道水の成分バランスを変えるだけで添加剤などの薬品を使わないので、排水は飲用水には向かなくても生活用水として利用することはできます。

写真:左は無処理の水道水、右はアニオン交換処理された水。ビーカーの底に見える淀みのようなものは、回転する攪拌装置の”コマ”です。左は中の金属プレートが腐食した上に攪拌されているので、水に錆色が付いています。


東和産業株式会社
有限会社イーシーテクノ

『バブルソニック洗浄用ノズル』

水道水のホース先端に付けるだけで、高い洗浄効果を発揮できるノズルです。
ノズル内部を通る水流そのものが負圧を生み、空気を吸引するようになっています。吸引された空気は細かな気泡となって、水流の勢いを高めるだけでなく、汚れをこそぎ落とすのにも役立つのです。また、この気泡が、チリや花粉などの微細な異物を包み込んでしまうために、粉塵汚れを飛び散らせない効果もあります。
もちろん水道水だけでなく、送水装置での使用も可能。装置内部には、腐食に抵抗する処理も施してあるので、洗剤などの薬品も利用できます。

右写真:グリップ型
右手にある円形部品は、オプションの『シャワーノズル』です。通常のノズルだけでもシャワー状の水流が出るのですが、これを付けるとシャワーの拡散範囲が広がります。

下写真:ハンドタイプ
高所や、歩きながらの床洗浄に使い易い製品もあります。
上写真:会場でのデモンストレーションの様子。
左右ともホースには同じ流量の水が流れています(流量計を見る限り、実際には左の方が流量が多い)。通常のホースからはドポドポと水が流れ落ちていますが、『バブルソニック』を装着した方は同じ流量なのに水煙をたてるほどの水圧になっています。
この水流の勢いはもちろん、空気が混合されていることも、高い洗浄効果を発揮する要因になっているのです。


川本工業株式会社

『ロボット洗浄システム』

オフィスなどの天井に設置されたエアコンを、洗浄してくれるロボットです。
熱交換器に埃や汚れが溜まると、エアコンの効率が落ちるだけでなく、細菌や微生物が繁殖して衛生面の問題が生じることもあります。これを防ぐために定期的に清掃を行うのですが、汚れや洗浄水が飛び散らないよう厳重に準備した上で、天井を見上げながらの作業になるので、作業をする人も大変です。
これは、その洗浄作業を肩代わりするロボットで、なにしろロボットですから、定められた手順を見落とすことなく作業してくれることに利点があります。
左写真:会場でのデモンストレーションの様子。

左下写真:ロボットとセットになるコントロール装置。

下写真:ロボットによる作業の様子。
このように、作業箇所を完全に覆って作業を行うので、汚水が飛び散る心配がありません。
エアコンの分解・組み立て、ロボットの設置、ロボットの行う洗浄作業そのものには、これまでどおりの時間がかかりますが、作業員の体力的には楽になりますし、数をこなしても仕上がりが均一になります。
このデモに使われていたのは従来品なので、洗浄中のエアコン内部が暗くて見辛いのですが、上の最新型では本体にライトを内蔵しているので、作業の様子を観察し易くなっています。
『AQUA-Z』

洗浄液を吹きつけると同時に吸引することで、余分な水漏れなく水洗浄できる装置です。
たとえばカーペットのコーヒー染みなどの場合、瞬時に洗浄液を吹きつけて染みを希釈して洗いだし、同時に汚れごと洗浄液を吸い込んでしまうので、まるでシミ汚れだけがノズルに吸い込まれたように消えてしまうでしょう。
吸引能力が高いので、頭より高い位置で作業しても水が垂れ難くなっています。作業対象からノズルが離れると瞬時に洗浄液が停止するようになっているので、洗浄箇所を不必要に塗らすことなく作業できます。また、吹きつけて吸い取るという仕組みによって、複雑な形状をした立体物でも作業対象にできます。

下写真:左から「丸型ノズル」「平型ノズル」、オプションの「三角ノズル」 三角ノズルはカーペットやソファなどの洗浄に向いています。

それぞれノズルに付いているボタン(黒い円形部分)は、押している間、一時的に吸引を止めるためのものです。
たとえば左写真の最下部にあるのはデモンストレーションに使われていたエアコンの部品なのですが、このようにノズルが入りこめない凹凸の底に汚れがある場合、このボタンを押して洗浄液を吹きつけ、汚れを浮かせて希釈し、後に全てを吸引する……といった作業を可能にしてくれます。
また、強力な吸引力によってノズルが作業対象(平面)に吸いつきそうになると、このボタンが自動的に下がって吸いつきを防いでくれます。


株式会社極東商会

エアコン冷却システム『エネ助くん』

エアコン室外機の熱交換フィンに対して”打ち水”することで、冷房効率を上げるための装置です。
熱交換フィンに水をかけて冷やすと同時に、大気中への廃熱も抑えるので、省エネ効果と共にヒートアイランド現象防止効果も期待できます。
ポイントは、冷却に使うのがエアコンから出た排水(ドレン)であることです。エアコンを動かしている限り排水は出て、それを再利用するのですから余分な水道料金などはかかりません。また、この排水は水道水と違って空気中の水分が配管内で結露したものなので、純水に近く、塩素やシリカなどを含まないために、熱交換フィンが腐食する心配が、水道水に比べて少ないのです。

下写真:『エネ助くん』SC-Jタイプ。『エネ助くん』の本体ともいえる部分です。写真の品は内部構造が見えるように透明パーツになっています。
この装置もポイントです。装置に導かれた排水は装置内の集水バスケットに溜まり、一定量溜まると、水の重みでバスケットが回転して熱交換フィンに水をかけます。つまり、仕掛けは”ししおどし”(日本庭園などにある、水が溜まるとカコーンと鳴るアレです)と同じなので、排水の流入だけで動き、電力等の動力が必要ありません。
左上写真:SC-Jの実物。内部構造が見えています。

上写真:各種関連補助装置。
基本構成ではなんら動力を必要としないのですが、たとえば室外機が屋上にある場合などは、排水をポンプで押し上げる必要があります。また、室外機の規模が大きい場合には分配器(写真中央)が必要になるでしょう。

左写真:こちらは下から水を吹き付ける装置、SC-Pタイプの噴霧器です。
腐食防止コート『フィンガード』

アルミフィンの洗浄後、仕上げに吹きつけておく腐食防止スプレーです。塩害、排気ガス、酸性雨などによる腐食から熱交換器を守ります。
これは『エネ助くん』とのセット商品というわけではありませんが、いくら純水に近い廃液とはいえ、常に水をかけ続けることになるのですから、こういった防御策を併用することも必要でしょう。


株式会社眞洋商会

『スペクトロライン』

蛍光剤を用いて配管の漏れを早期発見するというものです。
蛍光剤を含有した液体を配管や機械装置に挿入します。ブラックライト・紫外線ライトで照らすと、この蛍光剤が発光するので、巡回点検中に光っている部分があれば、そこから漏れが発生していることが判ります。
この蛍光剤は、潤滑オイルや燃料、油圧装置用油、冷媒など、様々な液体に対応してしています。注入方法も色々とあるので、様々な装置に応用できるでしょう。
上写真:デモンストレーションの様子。
一見して漏れなど無いように見えますが、ブラックライトを照射すると継ぎ目が輝き、そこから漏れが発生していることが判ります。


株式会社ネオス

『ネオス リグライト M-25SB』

エアコンの熱交換器洗浄に使う洗浄液で、特徴は金属素材を侵食しないことです。
効率良く汚れを落とすためには、ある程度強い薬を使って溶かし落とすことになりますが、長期的に見ると、この強い洗浄液じたいがアルミフィンをボロボロに侵食して、効率低下の原因になってしまいます。
この『ネオス リグライト M-25SB』は、強い洗浄力を持ちつつ、アルミフィンを侵食しないところがポイントです。商品は原液なので、3~5%程度に希釈してから使用します。

下写真:洗浄液にアルミフィンを浸し続けるデモンストレーション。
他社製品のふたつは浸けたり上げたりを繰り返し、一方の『ネオス』は浸しっぱなしにしています。
上写真:デモによる侵食状況。
左から『他社B製品』『他社A製品』『ネオス』に浸していたアルミフィンの状態です。イベントの朝(10時頃)から始めて、この写真を撮った昼頃までに、他社製品がここまで腐食しているのに、『ネオス』に浸しっぱなしになっていたアルミフィンは、まだ輝きを保っています。
本来、洗浄液に浸しっぱなしにすることは無いので、こんな激しい変化は起きないのですが、長期的に、洗浄回数が増えていくと差が出てくるでしょう。

左写真:オマケ 一日浸したアルミフィン。
これは取材した前日のデモで、開場から閉場まで『他社B』に浸されていたアルミフィンです。ちょうど洗浄液の水位のあたりで溶け落ちてしまっています。
上の写真では『他社B』は『他社A』よりも腐食が進んでいないように見えるのですが、実際に、より多く腐食したのは『他社B』の製品だったそうです。




参考:
第34回 冷凍・空調・暖房展
第9回 空調・衛生総合機材展
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