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洗剤の誤飲、ペットボトル使用の危険

ビルメンテナンス情報
洗剤の誤飲、ペットボトル使用の危険

著 木村光成 さん

 最近、医療関係者から、剥離剤の内容について問い合わせがあった。ペットボトルでの誤飲により2名が救急搬送中とのことで、誤飲の内容が剥離剤ということであった。
 詳細は不明だが、ペットボトルの洗剤容器としての使用は非常に危険であり、絶対に使用すべきではない。
 我々の最も手近な空き容器は、ぺットボトルである。しかも手頃で使いやすいデザインで、少量の洗剤や余りの洗剤の容器として、よく使用される。しかし、中身の内容が忘れ去られたり、置き忘れられていることも多い。
 言うまでもなく、ペットボトルの大部分は飲料容器である。場合によっては、今回のような単純な誤飲問題でなく、ペットボトルが公共施設清掃のクリンクルーに危険を及ぼす場合もある(後述)。

 ペットボトルの洗剤容器としての使用についての警告は、ポリッシュ工業会が昔行った記憶があるが、ビルメン関連協会や厚生省が取りあげた記憶はない。以前、(社)ハウスクリーニング協会に注意を提案したが、『業界のイメージを落とす』として取りあげられなかった。
 最近この問題を耳にするため当時の資料を再記する。

A:ペットボトルの常識

1)ペットボトルの名前
 ペットボトルの”ペット”は、犬猫のぺットではない。ポリエチレンテレフタレートの頭文字の”PET”である。
 ポリエチレンテレフタレートは、ポリエチレンではない。むしろポリエステルである。

2)ペットボトルの耐性
 洗剤、灯油が入れられているポリエチレンと比較すると、耐性・耐薬品性がない。
 ・ 酸に弱い。酒石酸でも長時間で穴があく、耐久性は酸の種類と濃度による。
 ・ 溶剤に弱く、油性しみぬき剤では変形することが多い。
 ・ 大手洗剤メーカーの場合は、あまり強力な洗剤はないため、ボトルが保つ場合が多い。しかし、ネット通販の石材用洗剤やトイレ洗剤には、強力な物や劇物が多く、ボトルが溶解して事故になる例がある。


B:ペットボトルの事故

1)誤飲
 ペットボトルのほとんどは飲料の容器であり、中身が見えるように透明であることが義務付けられている。
 飲料容器であるために、特に子供の誤飲が多い。洗剤、農薬など。

2)毒物混入
 20年ほど前、電話ボックスなどに農薬などを入れたボトルが置かれた。

3)溶解事故
 数年前、新幹線の車中で、ビルメン業者がトイレ洗剤を入れていたペットボトルが溶けて、薬品が座席にこぼれ、悪臭と煙が充満し、終着の東京駅でテロ対策の部隊が待機する大騒ぎになった。
 おそらく硫酸を含む洗剤であったと思われる。生地のナイロンと内部のウレタンが反応して、悪臭と煙を発生させたのだろう。サンポール等の塩酸だけではこうはならない。専門業者が使う洗剤は、硫酸や硝酸、弗酸、過酸化水素を高濃度に含むものがあり、良く落ちる。

4)無差別テロ
 今後最も危険とされるのが、無差別テロにぺットボトルが使用されることである。
 筆者も、三菱重工事件では2時間前に現場を通り、オウム事件の数日前には新宿のトイレにいた。これらの事件でクリーンクルーが巻き込まれなかったのが不思議である。
 事務所ビルは、最近、警戒が厳しい。しかし、駅などの公共施設では警戒も限度がある。また、女性トイレに男性の立ち入りが難しい。 そして、より危険なのは、最近の硫化水素事件の流行である。これはぺットボトルを利用した時限装置が作りやすい。最近も自殺に見せかけた殺人に利用された。特に公共トイレが危険である。
 トイレに置かれたペットボトルも、うかつに触れない。これらの場所は、下請け業者が受け持つ場合が多い。経験のない派遣社員も多く、対策や情報もほとんど届かないし、ビルメン協会もトイレ協会も全く無関心である。
 対策は、置き去りのぺットボトルには手を触れないことであり、これが現場で身を守る方法である。

注:指導講師の一部が『ペットボトルはポリエチレン』と説明しているが、これは間違い。

参考:『混ぜると危険はいくつもある』
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