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最近のはく離作業トラブル原因

ビルメンテナンス情報
最近のはく離作業トラブル原因

著 木村光成 先生

1:剥離作業トラブルの多発
ビニールタイルの剥離作業トラブルが多発している。
まず、ワックスの剥離ができない事例が増えている。と、同時にビニールタイルのはがれや部分的膨れが起きている。
右写真は最近の事例であるが、下地材のウレタン系ワックスが膨潤はおきるが溶けきれず、黒パットでもうまく取れないため、皮すきを使い、人海戦術で行うしかなかった。この種のクレームはかなり起きていると考えられる。

本年秋のビルメン展では、エンボスタイル用のワイヤーブラシが発売されていた。おそらくパットはもちろん、研磨材付きブラシでもワックスが剥離できない事例がかなり起きていると考えられる。11月に行ったセミナーでも問い合わせがかなりあった。

ワイヤーブラシを剥離に使用したのは30年前である。当時は樹脂ワックスの初期製品の時代で、スチレン樹脂の黄化や下塗り剤と上塗り剤の使い分けが行われ、当時この使い分けを二液性ワックスと呼んでいた(塗料業界から二液性の意味が紛らわしいとの申し入れがあり、この用語は現在用いない)。
この下塗り剤の剥離トラブルが多発した。
代表的な例は、床にリンレイの下塗り剤を塗布したが、これが完全剥離できず、最近になってビルが取り壊されるまで、当時のはく離剤が部分的に残っていた。
その当時、ステンレスワイヤーブラシが剥離に使用されたが、ブラシの特徴で効果が持続しない問題があった。

当時、霞が関ビルで3Mのスプレーバフ工法が導入され、下塗りと上塗りの2層で管理する、いわゆる水を使わないドライ工法の初めであった。しかし、水を使わないドライ工法は『床の凹凸問題』『塗料系下塗り剤、現場UV塗装も永遠にはもたない』『中間での補修が必要』などの問題があり、スプレーバフ実施30年後の現在も、水を使用する剥離作業はなくならない。しかし現在、剥離洗浄水廃棄問題で、再び各種のドライ工法が蒸しかえさている。


2:その原因
1.ワックスの耐久性の要求のため、その代償として剥離性が悪くなる。ウレタンワックスの登場と、ワックスの性質が塗料に近づいている。本来、樹脂ワックスは、塗り易く、はがし易い。溶剤を使わないで落ちるのが樹脂ワックスであった。

2.剥離性の悪いワックスを落とすため、強力な溶剤型剥離剤の増加。タイルの剥離、膨れ。

3.UV塗装フローリング、5ミリ厚ラミネートタイル、オレフィンタイルなど、蜜着しにくい素材に対して蜜着性を増した代償として、剥離性が悪くなる。

4.ウエットルックの流行により、バフィングが行われるために剥離性が悪くなる。

5.剥離洗浄期間が長くなっている。

以上が推測される。
これ等は最近行ったセミナーでのアンケートと質問、聞き取り調査からの推測である。
現場からの声は剥離を何とか早められないか。ガゾリンを使えないかなどの声がある。

『剥離性の極端に悪い製品が何点かあるのではないか?』
この問題に、何社かの現場責任者がとり組んでいる。 その方法は以下の通り。

  1:代表的下地剤12種を選択。
2:はく離剤アルカリ系6種、溶剤系6種を選択。
3:コンポジ、ホモジラミタイプ、に2枚塗布。
4:一週間乾燥。
5:溶解速度を3段階評価。

また、容器にワックスを入れ、それを剥離剤で溶解し、2段階評価を行う簡易法もあり、こちらの方が多く用いられる。
こういった実験の結果、剥離剤の効きが極端に悪いワックスがあることは間違いない。これらを抑えておく必要がある。


3:対応
・まず、その現場のビニールタイルの種類の把握である。
少なくとも、コンポジかホモジの区別は必要。判別技術を身につける。
・その現場のワックスの商品名を記録しておく。下地剤はあまり剥離しないため、商品名が分からない場合がかなりある。
・メンテサイクルを予想して、その現場にあうワックスを選択する。
意外と剥離トラブルの多いのが、新規現場で指定ワックスを使う場合である。おそらくこのような場合、高価格のワックスが指定されるからであろう。剥離問題が起きるのは高価なワックスである。
・データベースに基づいたマニュアルの作成が必要。
そのためには、清掃委員会や資材商組合いにより事実上禁止されている、現場でできるワックスの見分け方や実験計画法など、簡易分析法の解禁により、各社ワックスの比較法を広める必要がある。
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