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横浜の廃水条件が全国の現場を苦しめる

ビルメンテナンス情報
横浜の廃水条件が全国の現場を苦しめる

著 木村光成 先生

グリーン購入法が具体的に動き出している。
従来、抽象的であったISOの内容や、清掃資材、清掃機械、清掃作業法、廃水処理、などに具体的な基準が要求されだした。特に横浜市はグリーン法に対する取り組みが進んでいるため、横浜の基準が他で流用される例が多い。その一例を記す。横浜の大きな公共物件で、本年四月に汚水のPHが指定されている。

汚水処理
洗浄により発生した汚水は、下記基準を満たすものは現場で排水処理し、基準に満たない場合は産業廃棄物として持ち帰り処理すること。

廃水基準
PH値  6.0~8.0
BOD値
COD値

BOD値、COD値が表示されているということは、将来規制される可能性が高い。フロアーポリッシュ工業会の通達でも『PH2以上、PH12.5以下で下水道に廃棄できる』としているが、この条件は数十倍厳しい。しかし、この条件は横浜のビルメンが提示したとの話がある。ISO14000をはじめに取得したあるビルメン会社が『提案書に廃水を中性にする』と記したとの話である。

このように自社の優位性を単純に提案することは、今後、グリーン法が動き出した場合、ビルメン全体に影響を及ぼしかねない。
たとえば「パウダークリーニングが世界一優れたカーぺットメンテ技法である」と提案して、それが採用されて指定技法になり、現場が酷い目にあった例がかなりある。これが公共物件全てで採用されたらどうなるだろうか? また、アメリカのカーぺット認定業者が宣伝しているように『カーぺットを30年使用できる世界共通技法』を提案して、それが指定された場合、30年もたない場合の責任は現場に来る。最近の事例でも、Mビルで撥水剤の耐久度がなく、提案したビルメンの責任が問われている。

提案書を販売業者に作らせることは業界のためにならない。なぜなら販売業者は資機材技法をその現場に売ることが目的であり、メンテが目的ではないからである。売り込まれた資機材や技法の効率が悪い場合に、その技法が指定されると、ビルメン現場の首を絞めかねない。その一例がパウダークリーニングの指定である。
受注さえ出来れば後は何とかなるつもりで、販売業者の立場で書かれた提案書を提出していると、グリーン法で厳密な実行が要求されるようになったら現場を投げ出さざるを得なくなる。
裏づけデータのある、実行可能な、ビルメン業界の立場に立った提案書を提出すべきである。

その具体例が廃水の中性化廃棄である。また、産業廃棄物としての処理も、決してビルメンにとってよいものではない。これを行うと処理の工程が文書化され、後々まで排出者、すなわちビルメン現場に責任が残る。やはり、現場処理が最も良い方法である。
これを行うには、剥離洗浄水の性質を理解し、処理の理論と使用薬剤の性質と役割を、現場に広める必要がある。また、資材業者は水を使わない機械や技法の販売に取り組んでいるが、少なくとも価格、効率、品質の面で完成されたものはない。水を使用する剥離洗浄法は絶対になくならない。販売目的でない剥離洗浄水処理のセミナーを行う必要がある。
また、実質的に禁止されている剥離水、洗浄水の過去の研究データーを公開することである。
特に(社)全国インテリアクリーニング協会が厚生科学研究で数年かけて行ったカーぺット洗浄水の内容分析は、そのまま利用できる未発表の生データを含んでいる。洗剤分やSS性分の内容など、再試験には多くの労力が必要である。
ビルメンテナス協会の社会的役割の明確化が求められている今、ぜひこれ等の研究の公開をお願いしたい。


写真左:剥離洗浄水の性質説明
写真右:洗浄水の分析
(剥離洗浄水研究セミナーにて)
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