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天然石材の時代は終わった?

ビルメンテナンス情報
天然石材の時代は終わった?

著 木村光成 さん

 池袋-渋谷間の地下鉄が開通した。
 沿線のデパートは、いっせいにリニューアルを行い、新たなデパ地下戦争が始まっている。
 地下鉄からデパートに客を誘導するのが、床材である。

 最近までは、中国産花崗岩が主流であった。大江戸線大門駅では、2種類の中国産大理石が使用された。高級店が並ぶ新丸ビルの地下道も、東京ミッドタウンの外回り(右写真)と地下通路も、中国産花崗岩であった。
 しかし、数年前からセラミック、それも中国産天然石材風セラミックタイルが、シエアを伸ばしている。白大理石よりも硬く、価格が桁違いに安いとなれば、使わないわけがない。
 コンビニの床がセラミックに切り替えられ、ワックスとバフマシンの使用がなくなりつつあるともいわれている。また、再利用素材として、セメントテラゾーが大江戸線赤羽橋駅などで使用されている。
 ビルの内外壁には結晶化ガラスとセラミック、戸建住宅にはセメント擬石が広く利用されて、天然砂岩や天然ライムなどに取って代わる勢いである。
 そして、外壁は各種の機能ガラスにより省エネルギー化が図られている。

 天然石材は、セラミック、結晶化ガラス、セメント擬石、機能ガラスなどに代わられつつある。
 また、石材の薄板加工も進んでいる。6ミリ製品が内装に使用され、10ミリものが床に使用されている。
 天然石材がもてはやされたのは、やはりバブル期である。東リ、スミノエなど、カーぺットメーカーまで石材に参加した。
 一番利益のあったのは、石材施工業者であろう。当時は「1日80,000円」といわれ、ほとんどの職人がベンツを買ったとのことであるが、これは石材を扱う繊維メーカーの声であり、石材職人の手間賃で、まったく利益がないとの嘆きであろう。
 しかし、現在は厳しい価格優先であり、石材メンテも高ければ仕事がない時代である。
 天然石材がその地位を取り戻すには、やはり価格の問題を解決することであろう。


左写真:
 機能ガラスビル。外壁にも石材は見かけなくなった。
 海老名サービスエリアの外壁は大理石ではなく、白の結晶化ガラスである。

右写真:
 結晶化ガラスは、花崗岩の成因とほとんど同じである。
 また、資材面も中国産ダイアパットが低価格で入荷してきている。これも無視できない要因である。

今後の流れ
 いずれにしても、天然石材の今後には、石油のエネルギー資源の影響が大きい。
 まず、産地からの輸送費の高騰である。特にブラジルの場合、影響が大きい(ランドマークのアウロガウチョ)。
 当然、原石より製品の輸入が増える。そして『出来るだけ軽く』ということは、薄い製品が増加することが予測される。既に天然石は6ミリものがあり、高級木材は0.2ミリである。と、なると、現在使用が増えているフイルムが使用される可能性が大きい。そして汚れたら貼り直しになるであろう。

 しかし、反面、天然石は高級品として残り、人造石材も中級品として使用される。
 代表例はヂュポンコリアン社のアクリル系人造大理石であり、キッチンカウンターに広く使われている。
 これら人造石は、天然石と比較して汚れにくく、汚れが落ちやすい。しかも天然石より低下価格である。と、なれば、これらが伸びることは間違いない。
 別の見方をすれば、石材の多様化である。

 最も歴史の古い職業である石屋はなくならない。
 が、『セラミックス屋』と、名前を変えざるを得ない。
 当然、石の知識だけでは対応できなくなりつつあるのが、現状である。



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